ゴルフ72のコツ
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初心者は軟鉄アイアンのメリットを生かせない!

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皆さんは「軟鉄アイアン」というクラブを知っているでしょうか?軟鉄アイアンとは、クラブヘッドの部分を鍛造(叩いたり曲げたりする)製法で作られたアイアンのことです。一つの鉄の塊をプレスしたり削ったりしてヘッドを作っています。それ以外の一般のアイアンは、鋳型に鉄を流し込んで整形する「鋳造」で作られています。

日本刀を作る際には、鉄の塊を刀鍛冶が叩いて伸ばして整形していきますが、あの作り方が軟鉄アイアンの「鍛造」という製法です。逆に、ネジやナットなど大量生産する工業製品は、金型に鉄を流し込んで一気に整形する「鋳造」で作られます。鍛造の方が手間が掛かるので値段が高くなりますが、比較的柔らかい素材でも高密度で整形できます。これが、後述する軟鉄アイアン特有の柔らかい打感を生む要因です。

アイアンセットに「FORGED(フォージド)」と付いていれば、それは基本的に軟鉄製のクラブということです。ですが鍛造(FORGED)だが軟鉄では無いアイアンも存在し、特に大型ヘッドやキャビティバックなど初心者向けの造りになっているクラブには、少し注意が必要です。

上級者になるほど、軟鉄アイアンを好んで使う傾向があります。軟鉄アイアンにはどういったメリットがあるのでしょうか?そして初心者でも使える代物なのでしょうか?

軟鉄アイアンの最大の特長が、打感が良いことです。「打感の評判なんて人それぞれ感じ方が違うのでは?」と思うかもしれませんが、それは軟鉄アイアンを打ったことがない人の戯れ言です。試打などで一度打ってみれば分かりますが、軟鉄アイアンで芯で捉えた時の打感は、万人が「柔らかくて気持ちいい感触だ」との口コミを語ります。この打感の良さは中毒性があると言っても過言ではなく、一度軟鉄アイアンを使うと「もう一般の鋳造アイアンには戻れない」との評判が圧倒的に多いです。

「打感なんてスコアに関係ない」と思うかもしれませんが、それも厳密には違います。軟鉄アイアンの振動の少ない柔らかい打感は、あくまで芯で捉えたときだけの感触で、少しでも芯を外すと打感が全く違うので、一発でミスヒットだ!と気付きます。つまり、自分のミスにはっきり気付くことが出来るので、スイングを細かくアジャスト・修正するのに向いています。

初心者向けのアイアンは、ミスヒットに寛容な設計になっているうえ、振動防止の仕組みも入っていたりするので、少し芯を外した位では、ミスに気付かない事もあります。上級者が軟鉄アイアンを使うのは、単に打感の虜になっているだけでなく、ミスヒットを厳密に分かるためだという理由もあるのです。

ライ角調整が出来ても初心者には無意味

もう一つの軟鉄アイアンのメリットが、ライ角調整が出来ることです。ライ角とは、地面にソールをピッタリつけた時のシャフトの角度です。軟鉄は加工しやすい素材ゆえ、クラブヘッドのソケット部分を再加工して、ライ角をアップライトにしたり、逆にフラットにしたり等の改造が行えるのです。

上級者になるとスイングが固まっているので、ライ角を調整して「クラブをスイングに合わせる」という方法も有効になります。スイングは今まで通りでライ角をアップライトに変えれば、球筋が勝手にフェードからドローになる、等の調整も出来るのです。このようなメリットがあるため、ミズノやテーラーメイドなどの上級者向けに強いメーカーは、積極的に軟鉄アイアンを販売しています。その反面・・・

軟鉄アイアンは初心者には向いていない

と言えます。軟鉄アイアンのほとんどが上級者仕様で作られているので、ヘッドが小型なうえに多くがマッスルバック形状なので、芯が狭く難しいです。前述したように、セミキャビティ&大型ヘッドなのに「Forged」と付いているクラブもありますが、それは鍛造アイアンではあるものの「軟鉄」ではない可能性があります(打感があまり良くない)。

またロフト角も寝ている(大きい)クラブが多いので、初心者では思ったように飛ばせないです。例えば初心者向けのクラブだと、7番アイアンのロフトは30度が平均ですが、軟鉄アイアンだと33〜35度くらいあるものが多いです。このようなアイアンでは、ロフトを立てたハンドファーストの形で、ダウンブローに打ち込むスイングでないと、正しい飛距離が得られません。

というように軟鉄アイアンは、ミートの安定感でも飛距離性能でも、初心者には厳しい仕様に作られているです。平均スコアが100を超えるレベルの人からは「難しくて使いこなせていない」という評判が多いです。

またライ角調整も、初心者ゴルファーには全く意味がありません。初心者はスイングが固まっていないので、ライ角をアップライトにした方が合うのか?その逆なのか?現状では判断できないのです。100を切れないレベルのゴルファーなら、ライ角調整をしても100%無意味です。

※初心者のライ角調整でも、身長が185センチ以上とか、150センチ台前半だとか、一般男性の標準から大きく離れた体格の人は、有効になる場合もあります。ほぼ全ての男性用クラブは、身長170センチ程度の体格を想定して、ライ角が作られているからです。

初心者は軟鉄アイアン(フォージド)のメリットを生かせない!まとめ
・軟鉄は打感が素晴らしく良い(=ミスした時に分かりやすい)
・但し小型ヘッド&マッスルバックなので初心者には評判が悪い
・ライ角調整も可能だが、初心者には無意味

そもそも軟鉄アイアンは、値段が高めだというデメリットもあります。一度打つと癖になる打感の良さですが、扱いこなすには中級者以上の腕前と、ゴルフにお金をつぎ込めるだけの「中毒的な情熱」が必要な代物なのです。

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