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パッシブトルクとは?打ち方のコツとデメリット

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2016年頃から「パッシブトルク」という打ち方が、ゴルフスイングの大きなトレンドの一つになっています。特に2017年には、セルヒオ・ガルシアがマスターズに優勝、ダスティン・ジョンソンが世界ランキング1位になるなど、パッシブトルクを使うスイングの選手達が大活躍した事、また石川遼プロもスイング改造で取り入れ始めたことが、流行を後押ししました。

パッシブトルクとは、ダウンスイングでフェースを閉じる動きを、物理現象や筋肉の反作用などを利用して受動的(パッシブ)に行うというものです。一般的には、フェースローテーション(厳密にはアームローテーション)は能動的=自らの意志で行うとされており、桑田泉プロ雑巾王子=武市悦宏プロのように「手をひっくり返せ」と積極的に腕を捻るレッスンドリルが多いです。このフェースを閉じる動きを自動的に発生させようというのが、パッシブトルク理論の目的の一つです。

具体的な打ち方は、ダウンスイング初期でスイングプレーン※注よりも下にシャフトを倒す動作を入れます。俗に「後ろ倒し」とも言われる、シャフトが寝る動きをあえて入れるのです。そしてボール方向ではなく、右腰〜背中の後ろへとクラブを「寝たまま」下ろします。

※注;一般的にスイングプレーンとは「ボールと肩(もしくは首の付け根)を結ぶライン」だと誤解されています。この角度はスイングプレーンを言いだしたベン・ホーガンのスイングの場合なので、厳密には「ホーガンプレーン」と呼ぶべきです。物理的な意味を考えたスイングプレーンとは、トップのクラブヘッドの位置とボールを結ぶラインであるべきです。即ちスイングプレーンは、アップライトなトップの人だと垂直に近く、レイドオフなスイングだと水平に近くなり、人によって角度は異なるものです。

感覚的にはフェースがガバ開きした状態でダウンスイングする訳です。こうするとダウンスイング後半では、捻られた前腕の反作用の動きと、グリップエンド側が下がる事でヘッドが上昇方向へと物理的な力が発生するため、インパクトゾーンでは勝手にフェースが閉じていくというメリットがあるのです。

パッシブトルクを発生させる動きが最も顕著に見られるプロゴルファーが、セルヒオ・ガルシア選手です。トップからダウンスイング初期にかけて、全くボール方向へ動かず、シャフトが背中側にほぼ垂直に下りる動きが、上記の動画で分かるでしょう。

日本ゴルフ界のレッスンでは、森守洋プロがパッシブトルクの打ち方を積極的に教えています。ボディーターンする前に、身体の右側へクラブを振り下ろす事を「クッション投げドリル」でコツを掴ませるレッスンで有名です。また三觜喜一プロも、テイクバックではフェースを閉じるが、ダウンで逆に開くパッシブトルク系の動きをレッスンしています。いわゆる「クラブの後ろ倒し」の動きです。

サイクロイド曲線でヘッドスピードを上げるコツ

そしてこのパッシブトルクには副次的なメリットがあり、それは「位置エネルギー」のパワーを活用して、飛距離を伸ばせることです。

レイドオフのトップを作れば、簡単にスイングプレーンより下側からボールを打ちにいけますが、そうするとトップの位置が低い=位置エネルギーが小さくなって、飛距離が伸ばせないというデメリットがあります。しかしパッシブトルク理論では、ダスティン・ジョンソンのように一度高いトップを作ってから、スイングプレーンより下へとシャフトを倒すので、位置エネルギーも最大化できる訳です。

また物理的にいう「サイクロイド曲線」の効能も得られるので、単純なアップライトのスイングよりも更に飛距離にプラスに働くという側面もあります。実はゴルフスイングでは、ボールに対して一直線に振り下ろすよりも、あえて遠回りさせて振り下ろす方が、ヘッドスピードが挙げられるのです。その理屈を証明するのが、サイクロイド曲線という下記の動画です。

直線的に動かすのは遅く、円弧よりもさらに前半が急角度になる曲線だと、ボールが落ちる速度が最速になり、この軌道をサイクロイド曲線といいます。要するにゴルフスイングも、通常のスイングプレーンに沿った円弧のスイングよりも、ダウンスイング直後は垂直に近い角度で振り下ろし、そこから円運動に合流するように振る事が、ヘッドスピードを上げるコツです。

※このサイクロイド曲線は、他のスポーツの世界でも応用が進んでいます。メジャーリーグにおける「フライボール革命」がそれで、ワザと一旦ヘッドを下げてアッパースイングに振る方がメリットが大きい事がビッグデータで証明され、多くの選手がアッパースイングに改造。その結果、2017年は大リーグ全体のホームラン数が史上最多を記録しました。

パッシブトルク打法のデメリット

このように、パッシブトルクを使ったスイングは、低いアタックアングル(=上下の打点のズレが少ない)と、ヘッドスピードアップという、二つの大きなメリットを実現できる理論です。しかし一方で、二つほど致命的なデメリットも存在するので注意が必要です。

デメリットの一つ目は、フェースローテーションが大きくなりすぎるため、球が左右にブレやすいことです。パッシブトルクスイングだと、レイドオフの弱点の一つ=飛距離については補えますが、フェースの開閉量が大きいというデメリットは全く補えないのです。それどころか、ダウンスイング前半はフェースを更に開く方向へとテンションが掛かるので、インパクトのタイミングがずれると、プッシュアウトスライスやチーピンなど、左右に大きく球が暴れる原因になります。

そしてもう一つのデメリットは、習得が極めて難しい打法だということです。ダウンスイングでフェースを開くうえ、ボールと全く関係ない方向(右腰横〜背中側)にクラブを下ろす必要があるので、感覚的に相当に違和感の強いスイングとなるので、上級者でも「こんなの無理だ」と拒絶する人は多いです。当サイト管理人は、数あるゴルフスイング理論の中でも、このパッシブトルクは難易度がMAXな打法だと思います。

当サイトでも度々言っていることですが、ゴルフスイング理論というのは実に様々で、ベストな打法なんてものは存在しません。各個人のフィジカル(身体の各部位の大きさや筋力・柔軟性など)と、各々の感覚によって、ベストなスイングというのは異なるのです。

それが証拠に、パッシブトルクが最新の理論だと言われていも、万人が取り入れている訳ではありません。石川遼プロのようにスランプ脱出をかけて取り組む人も居れば、全く我関せずというスタンスのプロも居ます。米PGAツアーでも、まだ大半のプロが、シンプルにスイングプレーンに沿ったダウンスイングをしています。


※ミケルソンはバックスイングは横振りだが、ダウンで縦振りになる。

中には上記のフィル・ミケルソンのように、パッシブトルクとは真逆〜バックスイングでプレーンより下を、ダウンでは逆にプレーンよりも上から振り下ろしているトッププロだって居るのです。大リーグの「フライボール革命」のように、万人がアッパースイングになった・・・というほどの絶対的な変化はまだ起こっていません。

どんなスイングでもデメリットがありますし、人によって向き不向きがあります。パッシブトルク(シャフトの後ろ倒し)を使うスイングは、難易度が極めて高く、下手に取り組むとスイングを崩壊させる危険性が高いです。当サイト管理人は、プロゴルファーを目指すジュニアとかならいざ知らず、週1〜2回の練習が限度だというアベレージゴルファーがチャレンジするのは無謀な打法だと思います。

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