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ゴルフスイングでは、左肘はテイクバックからダウンスイング〜インパクトまで「常にピンと伸びた状態で振る」というのが、多くのレッスンで定説となっています。左肘を伸ばさねばならない理由までは、語られないケースが多いですので、まずその点からまとめてみます。
ゴルフで左肘を伸ばす理由(メリット)
1.スイングの軌道を一定に安定させやすい
2.左肩周辺の筋肉の伸張反射を使え、ヘッドスピードが上がる
左肘をピンと伸ばしてテイクバックを行えば、常にトップを一定の位置に上げやすくなります。腕が曲がってたるんでいると、その微妙な曲がり具合の違いによって、トップの位置が毎回ずれる確率が高くなります。左肘を棒のようにピンと伸ばしていれば、腕の遊びがない分、常に同じ位置にクラブを上げやすくなる訳です。
そしてもう一つのメリットが、筋肉の伸張反射を使えるので、ヘッドスピードが上げられる事です。左肘をピンと伸ばして身体を回したトップを作れば、左肩付近の筋肉(三角筋・菱形筋・僧帽筋など)が限界まで伸ばされた状態になります。筋肉というのは、伸びたものが縮む際に力を生むので、これらの筋肉をしっかり伸ばしたトップを作れば、切り返しで筋肉が反射的に一気に縮む「伸張反射」が起きて、強いパワーを生み出せる・・・という原理です。
しかし、左肘を伸ばすことを意識しすぎるのはデメリットも多く、初心者の人にはあまりお勧めしません。これは当サイト管理人だけの意見ではなく、例えば桑田泉プロや山本誠二氏(山本道場)なども、左肘は伸ばそうとしなくても良いと教えています。
・左肘は無理に伸ばさなくてもOK
またジョーダン・スピースや故・杉原輝雄プロのように、左肘を曲げたまま打つトッププロも居ることが、伸ばすのが絶対ではない事を証明しています。
※魚突きドリルで有名になった山本道場のレッスン動画
左肘をピンと伸ばしたままバックスイングすると、身体の硬い人はトップが極端に浅くなります。無理に捻っていつも通りのトップを作ろうとすれば、ヒールアップしたり、体幹の軸が左に傾いたり、などとバランスを崩した変なスイングになります。
また伸張反射についても、スイングを崩壊させる可能性があるので注意です。しっかり左肩の筋肉を伸ばせても、切り返しで先に伸張反射が起きてしまうと、腕がボール方向に引っ張られ、クラブがスイングプレーンの前側に飛び出て、極端なアウトサイドイン軌道になります。これが伸張反射スイングの落とし穴です。
実際に、初心者の人に左肘=左肩の筋肉を伸ばしたトップを作らせると、ほとんどの人がダウンスイング初期に腕がボール方向へ突っ込み、アウトサイドインの極端なスライスばかりになります。またこの軌道だと、アイアンではシャンクも頻発するデメリットも誘発します。
左肩筋肉の伸張反射を使いこなすには、身体が回るより腕が下りる方が先〜スイングプレーンを外れない振り方をマスターしている事が大前提です。中〜上級者が更なる飛距離アップを目指して取り組むならOKですが、正しいスイングが出来ていない初心者が真似しても、不安定な要素が増えるだけで絶対にプラスには働かないでしょう。
ということで、当サイトでは左肘を伸ばす事については、意識する必要は無いというのが結論です。特に初心者の人は、ぎこちないスイングが助長されるだけなので、むしろ御法度と言ってもよい動きだと思います。
なお、スイング中に左肘が身体から離れる〜いわゆる肘が引ける癖があるアマチュアゴルファーも多いです。そんな人は、ダウンスイングで左脇をぎゅっと締める動きを試してみて下さい。実は肘だけを意識して身体に近づけようとしても無理で、左脇に力を入れて締める意識を持つと、肘が引ける癖が治しやすいです。
そしてもう一つは、インパクト後〜フォロースルーで左肘は曲げる(畳む)動きが必要だという事です。スイング中に左肘をピンと伸ばす意識が強い人は、フォロースルーまで伸ばし続けてしまいがちで、肘が上手く畳めないため「引ける」動きが出てしまうのです。
ゴルフで左肘の正しい動き〜伸ばす事が絶対なのか?まとめ
・ゴルフスイングで左肘を無理に伸ばそうとするのは正しくない!
・左肩筋肉の伸張反射は、初心者が使いこなすのは難しい
・左肘が引ける癖は、左脇を締める意識で矯正できる!
左脇を締めれば、左肘が引ける動きが無くなるだけでなく、インパクトでフェースが返りやすくなるので、球が捉まる=スライスしにくくなります。またスイングの回転半径が小さくなる=慣性モーメントが最小になって、ヘッドスピードも上がります。
左脇にタオルやヘッドカバーを挟んで、落とさないようにスイングする練習は昔から定番ですが、現在でもかなり有効な矯正方法です。左肘が引ける動きを矯正すれば、圧倒的に飛距離アップするはずなので、ぜひ練習してみて下さい。